R's Fragments


あらすじ 世界観 用語解説

薄明のイデオロギア —ハクメイノイデオロギア—

あらすじ 遠い未来、新たな時代を迎えた地球。そこでは「理念」が世界を揺るがす程の力として君臨する。
確かな理念の力を持つ者が統治者となり、自らの理念に共鳴する人間たちを導くことで新たな歴史を刻んでいく。……時には、いずれの理念にも馴染めない人々を置き去りにしながら。

平和、希望、秩序、自由、平等、叡智、愛。7つの理念が並び立つ時代において、人類は未だ憎しみや争いから抜け出せずにいた。
「秩序」が支配する厳格な管理国家に下層民として生まれた青年・ハルシュは、ある日辿り着いた謎の遺跡で、不思議な力を持つ少女・イデアを長い眠りから目覚めさせてしまう。
少女は失った記憶を取り戻すために、青年は不条理な世界を変える方法を探すために。奇妙な主従関係を結んだ二人が始めた巡礼の旅は、やがて7つの領域すべてを揺るがす真実へと彼らを導いていく。

目覚めた薄明かりが告げるのは夜明けか、それとも黄昏か——。

世界観 電気と機械が支配する旧世界が滅びを迎え、旧人類の遺構の殆どが自然に帰すほどの長い歳月を経た未来の世界が舞台。
人類は「世界の樹」に遺された旧世界の知識を取り込みながら新たな文明社会を築いている。この世界の人間のアイデンティティは民族や地域性よりも思想や理念によって規定されており、近い思想を持つ人々が集団となって「領域」と呼ばれるコミュニティを形成している。
異なる領域間の情報交換はあまり活発でないため、各領域の技術レベルや文化系統にはかなり大きな差がある。

用語解説 【世界の樹】
…世界中の大地に根を張っている、巨大な樹のような生命体。体内には旧世界に関する膨大な記憶を蓄積しており、各地の根を端末として人々に情報を分け与えている。
確かな理念を持つ人間を選別し、術枝としての力と不死を授ける存在でもある。


【術枝〈クラドス〉】
…人間社会を統治する能力者たち。一般的に人々からは「術枝様」「魔法使い」「賢者」などと様々な名で呼ばれ敬われている。
人の世をより良くするために何が必要なのかを深く考え、明確な理念として確立させた人間だけが術枝として選ばれる。

姿形は人間だが超越的な存在で、あらゆる物体を生成・分解できる能力を持つ。ただし人間の身体や精神に干渉することはできない。
また世界の樹の恩恵の影響で不老不死であり、他者が外的手段によって害することは不可能である。
各々の領域を持ち統治にあたる者のほか、まだ民から十分な支持を得ていない放浪の術枝も存在する。


【侍獣】
…術枝が従者として側に置く人ならざるもの。人間以外の動物が人間の姿を与えられて生まれた存在であり、元の動物の特徴や能力の一部を引き継いでいる。
侍獣としての身体は性別と人間換算の年齢に応じて作られるが、外見の特徴には素体の感情や主人である術枝の理想も反映されると考えられている。
総じて人間よりも高い身体能力を持つが、不死の存在ではない。


【領域】
…理念を軸に形成される共同体。現在は7人の術枝が治める7つの領域が存在する。

セレニテ
平和の領域
長命の女性術枝セレニテが統治する、7つの領域の中でも長い歴史を持つ領域。

術枝が民を重んじる人格者であることに加え、試行錯誤を繰り返し洗練されたシステムによって安定した運営がなされている。
全体の傾向としてやや保守的なため、新技術や革新的な発想は人々に受け入れられにくい。
秩序の領域 厳格な女性術枝ニルヴァーナが統治する、秩序を重んじ混沌を悪とする領域。

全ての民に職が与えられ生命と居住地を保障されており、 民の平均幸福度は7領域の中で最も高い。
しかし実態は究極の格差社会と呼ぶべきもので、社会全体の精神的・物質的な安定は下層民への徹底した差別を土台として成り立っている。
また刑罰が重いことも特徴で、地位のある上層民であっても断罪から逃れることはできない。
自由の領域 皇帝を自称する男性術枝が統治している、広範な地域に影響力を持つ領域。

工業・商業に非常に活気があり、出自に関わらず誰にでも成り上がるチャンスがあることが特徴。
その反面社会保障は最小限しかないため、結果を出せない人間にとっては苦しい環境ともなりやすい。
愛の領域 最年少の女性術枝が統治する、この時代において最も新しい領域。

自己と同じように他者を愛することが幸福な社会へ至る道だとし、手厚い社会保障を敷いている。
人間に善性があることを前提とした制度が多いため、多くの民にとっては生きやすいが一部の悪人にとっては抜け穴が多い。
平等の領域 庶民的な視点を持つ男性術枝が治める領域。

民の一人一人に向き合う姿勢を持ち、全員に等しい満足と幸福が行き渡るよう柔軟に対応することを重んじている。
必死に働かずとも生活ができるように富の分配が行われており、その影響として経済は伸び悩む傾向にある。また思想的に相容れないことから、秩序と自由の統治者や民からは敵対視されることが多い。
叡智の領域 旧世界に肉薄する技術力を持つ領域。なぜか術枝らしき存在が複数確認されている。

世界の現状を最大限良くするために技術開発を惜しまず、世界の樹から得られる情報を最大限利用してシステムの効率化を進めている。
電気を用いるテクノロジーや医学の知識があれば多くの人々が救えると考え、技術的に未熟な他の領域も叡智によって感化されるべきだと説いて回っている。
その教化活動は少々強引であり、他領域からは多かれ少なかれ危険視されている状態。
希望の領域 世界の樹を守護し、新たな術枝が生まれる際の儀式も執り行われる領域。

この世界を統べる神として世界の樹を崇めている。信者以外にも寛容な態度を取り、様々な思想が生まれることこそ神の意志だとする教義を持つ。
現実に起こる諸問題の全てを神話的ストーリーの文脈で捉えているため、他の領域から見れば見当違いな対応をする場合がままある。


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