アレクセイ・
シュトルツ・
アーベライン
Alexey Stolz Abelein
人物
真面目で腕の立つ剣士の青年。街の外に出ることを許された境界者として、街の安全を脅かす魔獣を駆除する業務にあたっている。
生まれつき魔法の力が発現しない灰色族のうち、戦いを生業とする「シュトルツ」と呼ばれる一族の出身。
守護色が不明であるため色付きの布を用いない服を着ており、寡黙さも相まって何となく近寄りがたい雰囲気を纏っている。
幼少期に修道院で一通りの読み書きは習っているが、高等教育を受けていないため歴史や科学にはかなり疎い。その代わり動物の急所や捌き方、武器の扱いに関する知識に長けている。
とある「呪い」を受けたことにより、ヒトでありながら悪魔の姿と力を持つ半人半魔となった。本来なら持ち得なかった強大な炎の魔力を手に入れたものの、天使と人間たちが築いた平和に仇なす存在として魔物狩りの危険に晒されることとなってしまう。
境遇
【来歴】
フェルム地方の山沿いにある小さな村シュトルツベルクに、父レオンハルトと母フロレンツィアの次男として生まれた。
村民は魔法が使えない代わりに武力を身に付けた者たちの集団であり、父と母も共に戦士であった。
生まれつき食が細いためあまり体が強くなく、また虫も殺せないような大人しい少年だったため戦士には向かないと思われていたものの、一族の習わしとして幼い頃から戦う術を教え込まれてきた。
性格にそぐわない厳しい訓練に挫けそうになることも多かったが、それでも耐えられたのは師である父への強い尊敬と2歳違いの兄の存在があってこそだった。
天才型で飲み込みの早い兄は不器用なアレクセイにとって憧れの存在であり、兄もまた「一緒に強くなろう」と弟に優しく接していた。
しかし、兄弟を厳格に育てようとする父に対して兄は次第に反発するようになり、ついには兄が15歳の時に何も言わず家を出たきり帰ってこなくなってしまう。
優秀な兄がいなくなったことで父の指導はさらに厳しくなり、アレクセイも兄の代わりになれるように、父に認めてもらえるようにとそれまで以上に必死に努力することとなった。
16歳で成人を迎える頃には一族に認められるだけの実力を身に付け、天政都市テルミニアで境界者としての仕事を始める。
【呪い】
テルミニア近郊の洞窟で、魔物に襲われた市民を助けに入った際にある呪いを受けた。
抵抗を封じられた状態で首元の皮膚に直接術式を刻まれ、その傷から呪い手である悪魔の血を注ぎ込まれるという儀式を強制的に経験させられた。その際には身体が内側から作り替えられるような、それまでに感じたことのない苦痛と不快感があったという。
呪いの内容は「悪魔化」で、魔法を使うこと、または出血を伴う傷を負うことが発動条件。姿が変化するだけでなく魔力も悪魔と同等に強くなり、あらゆる外傷が瞬時に治癒する驚異的な再生力が備わるが、その反動で精神も徐々に嗜虐的なものへと変質していくとされる。
残虐な行いと利己心を嫌う彼にとって悪魔は最も忌むべき存在であり、自分自身も呪いによってそうした心に染まってしまうのではないかと恐れている。
この出来事をきっかけに、解呪の方法と呪い手である白髪の悪魔を探す旅が始まることとなった。
内面
規則を重んじる、生真面目で誠実な性格。感情表現が乏しいため周囲には伝わりづらいが、他者の痛みに寄り添うことができる優しさを持っている。
常に誰かのために動くことを心がけており、身内だけでなくまったくの他人に対しての手助けも厭わない。
元々利他的な性分なのだが、その性質が行きすぎた結果として自己犠牲的な行動を取ることがしばしばある。
幼少期から父親に褒められたい気持ちを抑圧してきたことや、優秀な兄に対する劣等感が原因で自己肯定感が非常に低く、自分の存在にあまり価値を感じられていない。
また、動物の命を奪うこと、交わした約束を破ることなどを不誠実で自分勝手な行いだと感じ忌避している。魔獣や害獣の駆除という自分の仕事もまた人間の都合で命を奪う傲慢な行為だと感じているが、他者を害すること無しに生きるなど不可能であることも分かっているため、罪の意識を持ちながらも駆除を続けている。
真面目すぎる性格や自己犠牲的な考え方には「自分勝手であってはならない」「自分の価値を他者より上に置いてはならない」といった、彼自身が無意識に定めた規範が強く影響している。
容姿
色白の肌と暗い焦茶色の髪を持つ。
眼はハシバミ色で、光の当たり方によって褐色に見えたり緑がかって見えたりする。父や兄の鮮やかな緑の眼とも母の茶色の眼とも違うので、中途半端な色だと本人は思っている。
灰色づくめの服装と鋭い目付きが原因で、初対面の相手には威圧感を与えがち。
【悪魔として】
炎のような赤い髪と2本の黒いツノ、真っ赤な眼を持つ悪魔。鋭い牙や尻尾などの器官を持つが翼は生えていない。
灰色族は普通のヒト種と違って生後の魔力検査を受けないため、彼は呪いにかかった自分の髪を見て初めて自分の守護色を知ることになった。
赤い眼の色とツノの形は白髪の悪魔から眷属の証として受け継いだものであり、呪い手を探すための手掛かりでもある。
口調
「戦いでは常に冷静な方が勝利を収める。父の教えだ」
「歩き疲れたなら少し休むといい。……俺のことなら大丈夫だ、気にしなくて構わない」
「この呪いがやがて身体の全てを蝕むのだとすれば……その時、俺は俺でいられるのだろうか」
関係性